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 ■ 毎日のように押しかけられて迷惑。何とかできないの?  .



【概要】

誰かとトラブルになって困ることの一つに、家や職場、親族やご近所などに押しかけてきて嫌がらせをされることがあります。借金取りの取り立てなどが端的ですが、そうでなくとも、取引先であっても、契約トラブルが転じていつ豹変するか分かりません。

ところが、いざそのような事態になった場合、警察に相談しても、「民事不介入」だとかで、なかなか対応してくれません。ある弁護士のエッセーでも、あるとき、事務所に押しかけてきて玄関先に居座る相手がいて、警察に来てもらったが、「少なくとも、不退去罪の現行犯なので逮捕してくれ」と申し述べても、逮捕すらしようとしなかったとの笑い話が紹介されています。なお、その弁護士によれば、その居座り犯のせいで、事務員など畏怖し、まる1日仕事ができなかったそうです。このように、警察に期待しても無駄な場合、どうすべきか?

答えは、裁判に訴え出ることです。どのような裁判を起こすのかと言えば、「事務所に電話をかけたり、面談を強要するな」とか、「自宅、職場、その他親族宅の付近100メートル内に近づくな」といった、仮処分を求める保全訴訟となります。

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≪押しかけられて・・・≫


「アメリカじゃあるまいし、日本では無理だよ」と思うなかれ、です。

参考までに、最近の裁判例を掲記しておきます。自動車の物損事故の対応から損害保険会社と揉めたケースです。この事案で、裁判所は、保険会社の営業権に基づき、「執拗な苦情などの申し入れを不相当な方法でするな」との趣旨の差止請求を認めています。


なお、当然の話しですが、押しかけられるのが社会通念上もっともであると言えるようなケースでは、差し止めなどは認められません。例えば、あなたが不良品を売りつけておきながら、買主からの電話に最初から一切受けず黙殺しようとしたようなケースでは、無理です。引用判例でも、「受忍限度」という言葉が出てきますが、そのような趣旨だと読むと良いでしょう。

そして、その趣旨は、上記裁判例において、「相手方の申出への応諾自体を拒絶したり、その権利行使を制限することなく、その方途を明確にしているのであって、それにもかかわらず、相手方が当該弁護士を介しての交渉を一切拒否して抗告人の複数の部門への多数回及び長時間にわたる架電及び対応又は面談に固執することは権利行使としての相当性を越えるものというほかない」と説示しているところからも、読み取れるのではないでしょうか。





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 ■ArchiveSelection   参考資料 .   


◆ 業務妨害について差止請求を認めた最近のケース .
〔裁判〕(東京高裁平成20年07月01日決定・判タ1280号329頁以下)


1 差止請求権の根拠について

法人の「業務」は固定資産及び流動資産の使用を前提に自然人たる従業員の労働行為によって構成される。

法人の「業務」に対する妨害がこれら資産の本来予定された利用を著しく害し、かつ、業務に従事するものに受忍限度を超える困惑・不快を与えるときは、法人の財産権及び法人の業務に従事する者の人格権の侵害とも評価することができること、使用者である法人は、業務に従事する者が上記の受忍限度を超える困惑・不快を生ずる事態に曝されないよう配慮する義務を有すること、「業務」が刑法上も保護法益とされ、その妨害が犯罪行為として処罰の対象とされていること(刑法233条、234条)等にかんがみると、当該法人が現に遂行し又は遂行すべき「業務」は、財産権及び業務に従事する者の人格権をも内容に含む総体としての保護法益(被侵害利益)ということができる。

そして、このような業務を遂行する権利(以下「業務遂行権」)は、法人の財産権及び従業員の労働行為により構成されるものであり、法人の業務に従事する者の人格権を内包する権利ということができるから、法人に対する行為につき、@当該行為が権利行使としての相当性を超え、A法人の資産の本来予定された利用を著しく害し、かつ、これら従業員に受忍限度を超える困惑・不快を与え、B「業務」に及ぼす支障の限度が著しく、事後的な損害賠償では当該法人に回復の困難な重大な損害が発生すると認められる場合には、この行為は「業務遂行権」に対する違法な妨害行為と評することができ、当該法人は、当該妨害行為の差し止めを請求することができると解するのが相当である。




◆ 【余談】 上記裁判例について、補足説明 .

このケースでは、次のような事情があります。まず、平成19年8月頃に損保契約を締結していたところ、その直後の翌9月に、鉄柱に衝突するとの自損事故(物損のみ)が生じたこと。また、保険対応をするには警察への事故届けが必要だとして保険会社がお願いしたところ、事故届出を強硬に拒否され、その外にも、事故の調査に協力せず、不自然な要求も多かったこと。更には、窓口を弁護士にするようにしたところ、「多数回及び長時間にわたり架電し、その都度弁護士あての連絡を依頼されてもこれを拒否し、保険会社が顧客対応を弁護士に依頼することは保険業法違反である、契約者の同いなく無断で弁護士に委任するのはどういうことか、弁護士とは話をしない、抗告人〔保険会社〕の担当者は嘘つきである、対応者の上席者又は部門責任者を出せ、更なる上席者の氏名を教えよ、適切に対応できる者を出せ、他の人間が電話を代わるまで掛け続けるなど、自らの主張・要求等を繰り返し述べた」との経過をたどったこと、があります。

裁判所は、以上の事実を認定して、「相手方は、抗告人に対し、相手方の抗告人との自動車損害保険契約に基づく別紙事故目録記載の事故にかかる保険金請求に関する交渉に関し、抗告人の委任した代理人弁護士を介しての交渉によらずに、自ら又は第三者を通じて、抗告人の営業所(コールセンター等を含む。)に架電するなどの方法により、抗告人の従業員に対し電話の応対又は面談を強要してはらない」との決定をくだしました。







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