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◆ 「写真の構図がまねされた! 廃虚写真事件」 【裁判】【写真の著作権】
〔参考〕「『廃虚写真、まねされた』=プロ写真家が同業者提訴−東京地裁」(時事通信 2009年01月09日)
[概要]
「廃虚」をテーマにした写真の構図などをまねされたとして、プロ写真家の丸田祥三氏が9日、同業者の小林伸一郎氏を相手取り、写真集の差し止めや損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。
被写体と構図の選定には、文献を調査し、現地に何度も足を運ぶなど多大な労力を要し、高い創作性がある、地図などから被写体になる廃虚を見いだすのは不可能だとし、「作品をまねて撮影したのは明らかで、著作権侵害に当たる」と主張している。
[解説]
率直な感想としては、お気持ちは分かりますが、「無謀な訴訟」です。
なぜならば、文献の調査や足を運んだ労力は、いくら多大であっても、著作権の主張にとってあまり意味のある主張とならないからです。
また、廃墟の写真に足尾銅山のくだんの建物を選ぶこと自体は、アイデアの域を出ないので、それ自体は著作権によって保護されないでしょう。そして、掲載されているサンプル写真を見比べると、露光のあり方も違うようで、素人目にはアングルが一緒なぐらいにしか感じられませんでしたので、著作権に関していう限り、その侵害は否定されるのではないでしょうか。
しかも、アングルが一緒といっても、正面からの写真のようであり、そこから取ること自体に特段の特徴があるわけではありませんので、その部分に創作性を認めるのも難しいと思います。この点、いわゆるパロディー事件での補足意見にあるように、似たようなアングルの写真を撮ることは基本的に問題ないと解釈できるような説示があるぐらいです。
以上のようなことから、困難な訴訟であると思いますが、逆に、勝訴するようなことがあれば興味深い事例判例となると思われます。
なお、類似写真は5点ということですが、写真集4冊に対してのものですので、編集著作物としての著作権の侵害の主張も難しいでしょう。
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