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◆ 「動画サイトの運営者の、著作権侵害の賠償責任  パンドラTV事件」 【動画投稿サイトの責任】
  〔参考〕「音楽無断配信、投稿サイトに9000万円賠償命令」(読売新聞 2009年11月14日)
  〔裁判〕(平成20(ワ)21902 東京地裁平成21年11月13日判決


[概要]

日本音楽著作権協会(JASRAC)が、YouTUbeやニコニコ動画などと同種のサービスを提供する動画サイト「パンドラTV」(現「TVブレイク」)に対して、著作権侵害であると訴えていた事件で、東京地裁(岡本岳裁判長)は、動画の複製・公衆送信の差し止め(つまり、配信サービスの将来に向かっての停止)と、8993万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

運営元のジャストオンライン(東京都中央区)及びその代表者側は、「著作権の侵害をしているのはファイルのアップロードをしているユーザーである」との、お決まりの主張(いわゆる侵害主体性を争う主張)のほかにも、「権利者は、削除要請をしないことで暗黙のうちに容認している」、「自社のサービスは他社のサービスと異ならない」などと主張したが、裁判所はそれら主張を退けた。

なお、請求金額は、平成20年04月24日までの過去の損害約1億2800万円、それ以降11月04日までの月額944万円、11月05日以降の月額504万円である。弁護士費用は、判決文を見る限りでは、請求されていなかったようである。



【関連記事】

⇒ 「ネット無断配信訴訟:動画投稿サイト側敗訴 著作権侵害、2万件認定」(毎日新聞 2009年11月14日)
⇒ 「動画サイトの著作権侵害認定」(朝日新聞 2009年11月13日22時05分)




[解説]

配信記事によれば、「JASRACによると、動画サイト上の著作物に関して運営事業者に責任が及ぶと認めた判決は初めて。他の動画サイト『ユーチューブ』や『ニコニコ動画』など25社とは著作物の利用契約を結んでいるが、ジャスト社は許諾なく動画送信を続けたとして提訴していた」との背景があるそうです。

また、侵害の実態としては、「平成20年4月24日現在,本件サイトにアップロードされている動画ファイルのうち「音楽」のカテゴリーに属する8422件のうち7569件の動画ファイル(89.87%), 「アニメ」のカテゴリーに属する4860件のうち4224件の動画ファイル(86.91%), 「ムービー」のカテゴリーに属する2803件のうち1684件の動画ファイル(60.08%)が,本件管理著作物を録画した動画ファイルであった」と認定されています。


その呆れるばかりの統計データだけでなく、裁判所が認定したジャストオンライン側の悪質さにも驚かされます。

とりわけ、権利者から違法アップロードをしたユーザーの情報開示を求められた際に、ジャストオンライン側が、当該ユーザーに対して、メールアドレスをフリーメールに変更することを勧めるなどして、権利侵害ユーザーに対する責任追及を困難にさせる対応すら行なっていたとの認定には、唖然とさせられます。結論的に、それら事実認定などを踏まえて、ジャストオンライン及びその代表者について、著作権の侵害主体であると認定されています。

ほかにも、裁判所は、この手の動画サイトにおいて著作権侵害を回避する措置として、同種のサービスを提供する他社においては、@ハッシュ値を活用する方法、A楽曲の音の波長を活用する方法、B所定の権利者による申請に対応した自動的な削除プログラムを活用する方法が既に実用化されていると指摘し、「原告は殊更に過度な要求を被告会社に求めている」との主張を排斥しています。



ついで、賠償責任に関連して、動画サイトの運営者が、プロバイダ責任制限法における「発信者」に該当するのかが争われました。これは、「発信者」に該当すると、「プロバイダ」であれば認められる免責規定の適用がなく、平たく言えば、ジャストオンライン側にとって不利になるからです。

この点について、裁判所は、そもそも、「被告会社は,著作権を侵害する動画ファイルの複製又は公衆送信(送信可能化を含む)を誘引,招来,拡大させ,かつ,これにより利得を得る者であり,著作権侵害を生じさせた主体,すなわち当の本人というべき者であるから,発信者に該当するというべきである」(64頁)と判示しています。



なお、ジャストオンライン側の代理人が、著作権法に関しては有名な弁護士であっただけに、どのような先進的な反論が為されるのかと期待されましたが、判決文に現れたその主張を見る限り、なんとも残念な弁護活動・主張を展開していたと言わざるを得ないように感じます。




平成20(ワ)21902 東京地裁平成21年11月13日判決
■ 「黙示の許諾」について(47頁)


被告らは,投稿動画についての多くの権利者が黙示に許諾し,あるいは積極的にこれを利用している旨を主張する。

しかしながら,一部の権利者が投稿サイトと提携をしようとしていることは認められるが,投稿サイトに権利者が明示の許諾を与えて当該著作物について適法に利用ができるようにしたという当然のことが帰結されるにすぎない。

2006年(平成18年)8月3日付けITmediaウェブニュース記事には,「スター・ウォーズ」ファンが作成したパロディ動画などがYouTubeから削除されたことに対し,Lucasfilmが再掲載を要請した旨のニュースが記載されているが,同記事のみで,権利者の多くが黙示に許諾しあるいは積極的にこれを利用しているとの事実を認めることはできず,ほかに被告ら主張の上記事実を認めるに足りる証拠はない。



■ 侵害の主体性について


(56頁)
同月9日,ギャガは,被告会社に対し,同ユーザの登録情報を開示すること求めたが,被告会社は,同月10日,同ユーザに対し,

「TVブレイクでは,メールアドレスが変更できますので,アドレス変更をご希望の場合,変更するメールアドレスからチャンネル名とニックネーム・旧アドレスを明記の上 info@pandoratv jpへお知らせ下さい。(変更アドレスは例えば,yahooやmsn・Googleなどです)メールが届き次第,アドレスは変更いたします。変更完了のメールを新アドレスにお送りいたしますので以降のログインは新しいアドレスでお願いします。(パスワードは変更しません) 6月12日(木)までに返信がない場合,現在の情報を開示することになります。」

との内容のメールを送信し,当該ユーザに対し,開示の対象となるメールアドレスを,個人を特定することが困難なフリーメールアドレスに変更すること,及び新たなメールアドレスで本件サービスを利用することを勧めた。

同月12日,被告会社は,ギャガに対して,当該ユーザの変更後のyahooのフリーメールアドレスを開示した。



(57頁)
平成20年4月4日東宝は被告会社に対し,「クローズド・ノート」の本編全編が本件サイトにアップロードされており同社の著作権を害するとして,動画ファイルを特定して削除要求及びユーザの登録情報の開示要求をした(なお,アップロードしたユーザは「恋空」をアップロードしたユーザと同一である。)。

しかしながら,被告会社がこれに応じてユーザに対応措置(東宝から削除要請があった旨を告知し,当該ユーザに自主的な対応を求めるもの)を採ったのは同年5月1日になってからであった。

また,被告会社は,同年6月10日,同ユーザに対し,やはり開示の対象となるメールアドレスを,個人を特定することが困難なフリーメールアドレスに変更することを勧め,同月13日に登録情報(フリーメールアドレス,生年月日,性別,ニックネーム)を開示した。



(60頁以下)
・・・削除措置については,被告会社にはユーザの意思にかかわらず自らの判断で動画ファイルを削除する権限があり,著作権を侵害する疑いのある動画ファイルをユーザの意思に反して削除したとしても,本件サービスの利用は無償であって削除によるユーザの経済的損失が生じることはほとんど想定し得ないにもかかわらず,被告会社は,権利者から権利侵害であることの明白な動画ファイルの削除要求があっても,これら動画ファイルを直ちに削除することはせず,会員同士の視聴は可能な状態にどとめたり,また,原告から包括許諾契約の締結と権利侵害防止措置を求められた際にも,権利侵害防止措置は資金的,人的に被告会社では不可能であると回答し,何らの具体的な対策を提示しないなど,権利侵害の防止・解消について消極的な姿勢に終始していたということができる。

さらに,権利者から著作権を侵害する動画ファイルをアップロードしたユーザの登録情報の開示要求があっても,ユーザにメールアドレスの変更を勧めるなどして,権利侵害をしたユーザに対する責任追及を困難にさせる対応すら行っている。したがって,被告会社の削除措置は,著作権侵害の拡大防止のために十分な機能を果たしていたとは認め難い。


映画,音楽などの著作物を複製又は送信可能化する者は,著作権侵害を確信的に行っているものであるから,警告だけというような回避措置のみではほとんど有効性を期待できないところ,被告会社は,他に有効な措置を採ろうとした形跡が認められない。


(中略)

・・・被告会社は,著作権侵害行為を支配管理できる地位にありながら著作権侵害行為を誘引,招来,拡大させてこれにより利得を得る者であって,侵害行為を直接に行う者と同視できるから,本件サイトにおける複製及び公衆送信(送信可能化を含む。)に係る著作権侵害の主体というべきである。


■ 著作権の侵害主体について、一般論部分(39頁以下)


1 争点(1)(侵害行為の主体−主位的主張−)について

(1) 前記第2,2前提となる事実(5)アのとおり,本件サーバの記録媒体に本件管理著作物を録画した動画ファイルを記録することは,上記著作物の複製及び送信可能化に該当し,上記動画ファイルをユーザからの求めに応じて本件サーバからユーザの使用するパソコンに送信することは,自動公衆送信に該当する。

そして,本件サーバは,被告会社が直接管理しているところの動画IDを管理するデータベースサーバと,米国のライムライト社が管理するところの動画ファイルを格納するファイルサーバとに分かれているが,被告会社は同ファイルサーバに対する使用権原に基づき,本件サービスにおいて送受信の対象とされているファイルの所在及び内容を把握でき,必要に応じてファイルの送受信を制限したり,特定の利用者の利用自体を禁止したり,ファイルを削除する等の措置を講じることができるから,ライムライト社の管理するファイルサーバも含めて本件サーバを管理支配しているものと認められる。

また,被告会社は,前記第2,2前提となる事実(3)アに認定したとおり,その定める独自のユーザインターフェイス環境においてユーザにコンテンツを提供するというコンセプトを有する本件サイトを開設しており,ただ,そのコンテンツがユーザの提供によるというにすぎないところであり,外形的には,被告会社は,少なくとも公衆送信(送信可能化を除く。)はしている。


もっとも,複製又は送信可能化については,後記(2)イ(ア)c(c)のとおり被告会社の代表者である被告A自らが行ったものも一部あるが,それ以外のものについては外形的にはユーザが行っている。

また,複製又は送信可能化される動画ファイルの選択はユーザの任意によるものであり,その結果として,公衆送信される動画ファイルも上記のようにユーザが任意に選択した範囲の中のものに限られるから,公衆送信されるべき動画ファイルの設定それ自体には被告会社は直接には関与していないことになる。したがって,複製及び送信可能化のみならず,公衆送信についても,侵害主体を論じる必要がある。


この点,著作権法上の侵害主体を決するについては,当該侵害行為を物理的,外形的な観点のみから見るべきではなく,これらの観点を踏まえた上で,実態に即して,著作権を侵害する主体として責任を負わせるべき者と評価することができるか否かを法律的な観点から検討すべきである。

そして,この検討に当たっては,問題とされる行為の内容・性質,侵害の過程における支配管理の程度,当該行為により生じた利益の帰属等の諸点を総合考慮し,侵害主体と目されるべき者が自らコントロール可能な行為により当該侵害結果を招来させてそこから利得を得た者として,侵害行為を直接に行う者と同視できるか否かとの点から判断すべきである。








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