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◆ 「まねきTV事件」 【著作権】【公衆送信】
  〔裁判〕(平成20(ネ)10059 知財高裁平成20年12月15日判決


[概要]

民放各テレビ局が、株式会社永野商店に対し、「まねきTV」という名称で、契約を締結した者がインターネット回線を通じてテレビ番組を視聴することができるようにするサービスの提供が、放送事業者として有する送信可能化権、公衆送信権を侵害するなどと主張して、差止め及び損害賠償の請求をしていた裁判の控訴審判決があった。

原審は、本件訴えが訴権の濫用に当たるとの主張は排斥したものの、本件サービスは送信可能化行為・公衆送信行為に該当しないとして、請求を棄却していた。

裁判所は、原審の判断を支持し、控訴を棄却した。



[解説]

招きTVのサービスがネット配信および放送に当たる違法な行為であるとの主張は、それぞれ、法律の定義規定の解釈により否定されました。

個々の機器によって提供されるサービスが個々の利用者としか対応しておらず、また、利用者の意思で録画対象が決定されるなど、事柄の実質面において、文字通りの代行をしているに過ぎなかったということで、著作権侵害の主張が退けられたという感じです。

これより後の「ロクラク裁判(控訴審)」に比べれば、まだ、著作権法を政策的にどう指導していくすべきかというグランドデザインのようなものまで語られておらず、手堅い文言解釈によって解決した事案と言えるのではないでしょうか。

いずれにしろ、本判決と、ロクラク裁判との2つの知財高裁判決により、この手のビジネスの合法的な手法が承認されたといえます。

なお、ロクラク控訴審判決で値判断が示されておりますので、本判決についての詳細な解説は省きます。



参考までに、まねきTVのHPにおいて、事業者側のコメントが公表されています。
(特に、http://www.manekitv.com/maneki/#20081215)


【参考サイト】
⇒ 「まねきTV」(http://www.manekitv.com/)




■ 公表裁判例リスト


【保全事件】
申立却下 平成18(ヨ)22022 東京地裁平成18年08月04日決定(裁判長 高部眞規子)

抗告棄却  平成18(ラ)10009 知財高裁平成18年12月22日決定(裁判長 三村量一)
(原審 東京地方裁判所平成18年(ヨ)第22022号)

抗告棄却  平成18(ラ)10010 知財高裁平成18年12月22日決定(裁判長 三村量一)
(原審 東京地方裁判所平成18年(ヨ)第22023号)

抗告棄却  平成18(ラ)10011 知財高裁平成18年12月22日決定(裁判長 三村量一)
(原審 東京地方裁判所平成18年(ヨ)第22025号)

抗告棄却  平成18(ラ)10012 知財高裁平成18年12月22日決定(裁判長 三村量一)
(原審 東京地方裁判所平成18年(ヨ)第22027号)

抗告棄却  平成18(ラ)10013 知財高裁平成18年12月22日決定(裁判長 三村量一)
(原審 東京地方裁判所平成18年(ヨ)第22024号)

抗告棄却  平成18(ラ)10014 知財高裁平成18年12月22日決定(裁判長 三村量一)
(原審 東京地方裁判所平成18年(ヨ)第22026号)


【本案訴訟】

請求棄却  平成19(ワ)5765 東京地裁平成20年06月20日判決(裁判長 阿部正幸)

控訴棄却  平成20(ネ)10059 知財高裁平成20年12月15日判決(裁判長 石原直樹)
(原審・東京地方裁判所平成19年(ワ)第5765号平成20年6月20日判決)






平成20(ネ)10059 知財高裁平成20年12月15日判決
■ 「ネット配信が違法か」について(25頁以下)


「自動公衆送信装置」とは,公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいうものであり(著作権法2条1項9号の5イ),「自動公衆送信」とは,「公衆送信」,すなわち,公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち,公衆からの求めに応じ自動的に行うものをいうのであるから(同項7号の2,9号の4),
「自動公衆送信装置」は,「公衆送信」の意義に照らして,公衆(不特定又は特定多数の者。同条5項参照)によって直接受信され得る無線通信又は有線電気通信の送信を行う機能を有する装置でなければならない

しかるところ,上記2(原判決「事実及び理由」欄の「第4 当裁判所の判断」の「2 事実認定」の(1),(3),(4))のとおり,本件サービスにおいては,利用者各自につきその所有に係る1台のベースステーションが存在し,各ベースステーションは,予め設定された単一のアドレス宛てに送信する機能しか有しておらず,当該アドレスは,各ベースステーションを所有する利用者が別途設置している専用モニター又はパソコンに設定されていて,ベースステーションからの送信は,各利用者が発する指令により,当該利用者が設置している専用モニター又はパソコンに対してのみなされる(各ベースステーションにおいて,テレビアンテナを経て流入するアナログ放送波は,当該利用者の指令によりデジタルデータ化され,当該放送に係るデジタルデータが,各ベースステーションから当該利用者が設置している専用モニター又はパソコンに対してのみ送信される)ものである。すなわち,
各ベースステーションが行い得る送信は,当該ベースステーションから特定単一の専用モニター又はパソコンに対するもののみであり,ベースステーションはいわば「1対1」の送信を行う機能しか有していないものである。そうすると,個々のベースステーションが,不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る無線通信又は有線電気通信の送信を行う機能を有する装置であるということはできないから,これをもって自動公衆送信装置に当たるということはできない(被控訴人事業所内のシステム全体が一つの自動公衆送信装置を構成しているとの主張については,後記(3)において検討する。)。



■ 「公衆送信にあたるか」について(29頁以下)


(30頁)
控訴人らの公衆送信行為の主張A,Bは,被控訴人の上記行為が,本件番組についての控訴人らの同項所定の権利(公衆送信権)を侵害するというものである。


(39頁)
著作権法2条1項7号の2の規定に係る公衆によって直接受信されることとは,公衆(不特定又は多数の者)に向けられた送信を受信した公衆の各構成員(公衆の各構成員が受信する時期が同時であるか否かは問わない)が,著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることをいうものと解するのが相当である・・・。


・・・ベースステーションは,テレビチューナーを内蔵しており,対応する専用モニター又はパソコン等からの指令に応じて,テレビアンテナから入力されたアナログ放送波をデジタルデータ化して出力し,インターネット回線を通じて,当該専用モニター又はパソコン等にデジタル放送データを自動的に送信するものであり,各利用者は,専用モニター又はパソコン等から接続の指令をベースステーションに送り,この指令を受けてベースステーションが行ったデジタル放送データの送信を専用モニター又はパソコン等において受信することによって,はじめて視聴等により本件番組の内容を覚知し得る状態となるのである。

すなわち,
被控訴人がテレビアンテナから各ベースステーションに本件番組に係るアナログ放送波を送信し,各利用者がそれぞれのベースステーションにおいてこれを受信するだけでは,各利用者(公衆の各構成員)が本件番組を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態にはならないのである。


そうすると,被控訴人の上記送信行為が「公衆によって直接受信されること」を目的とするものであるということはできず,したがって,これをもって公衆送信 (有線放送)ということはできないから,控訴人らの公衆送信行為の主張Bは失当であるといわざるを得ない。



■ 補足説明的な説示(43頁)


ある送信が,ケーブル業者の関与の形態によって,公衆送信となったりならなかったりするという事態が生ずることが,著作権法の解釈として不合理なものであることは明らかである。同様に,控訴人らの主張に従えば,第三者であるネットワーク・プロバイダーが送信を仲介することが想定されているインターネット回線を利用した送信は,公衆送信に含まれ得ないことにもなりかねないが,そのような解釈も不合理なものであるといわざるを得ない

(なお,控訴人らは,ネットワーク・プロバイダーについて,情報の流通過程に,当該著作物等の本来的な送信者と扱われるべき者が存在し,その者が受信者に向けての直接の送信者となると解されるため,たとえ著作権法2条1項9号の5イ及びロに掲げる行為を形式的に行っていても,独立した送信行為者とは解されないと主張するところ,同項7号の2の「公衆によって直接受信されること」との関係においても,同様に,当該著作物等の本来的な送信者が存在するために,たとえネットワーク・プロバイダーが情報の流通過程で送信を仲介したとしても,独立した送信行為者とは解されず,情報の流通過程に介在したことにはならないと主張するのであれば,その主張に係る「本来的な送信者」とか「独立した送信行為者」等の意義が不明確であり(例えば,難視聴解消のためのケーブルテレビによるテレビ放送の同時再送信においても,控訴人らの論法を借りれば,「本来的な送信者」としかいいようのない放送事業者(控訴人らのようなテレビ局)が存在するのであるから,ケーブルテレビ事業者は,たとえ情報の流通過程で送信を仲介したとしても,独立した送信行為者ではない,という言い方さえ可能となりかねない。),結局,「公衆によって直接受信される」ものであるかどうかの判断に恣意的な要素を持ち込むものといわざるを得ない。)。

そもそも,伝達経路が多段階にわたることが想定される現代の送信において,「公衆送信」に当たるか否かが,公衆によって受信されるまでの間に第三者が介在しないか否かによって決まるものとすれば,公衆に対する最終段階の送信者(介在者)のみが公衆送信者たり得ることとなるが,そのような解釈の結果が一般的に合理性を有するとは解されないし,また,公衆送信者の特定に困難を生ずることになる。

まして,最終段階の送信者が「独立した送信行為者」であり,「介在」したといえるのかどうかを個別に判断することを要するとすれば,その困難は更に倍増することは明らかである。








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